東京への夫の一人旅

 今日、夫は東京へ日帰りの出張だった。私がこの出張のことを知ったのは
二日前。仕事から帰ってきた夫は東京の姪に電話をしている。よく聞いてい
ると、場所が不案内なので休みを取って案内して欲しい、と頼んでいるらし
い。いくら実の姪でも仕事を休んでまで付き合わせるのはかわいそうよ、と
夫から出張先を聞いて、パソコンで地図を出してみた。

 すると、そこは港区芝大門。この住所だけではわかりにくいが、浜松町駅
の目の前なのである。浜松町駅といえば、羽田空港からモノレールで一直
線、その終着駅なのだ。なにも案内させるほどのこともない。そのことを夫に
言ったら、羽田空港で飛行機を降りて、どこからモノレールに乗っていいか
がわからないらしい。モノレールに乗れたとしても、ちゃんと浜松町まで行け
るかどうかが、また不安らしい。

 目と耳と口と携帯電話を持っていたら子供だって目的地に辿り着けるわよ、
と言ってしまった。それでも心配な夫は私に、インターネットでモノレールの
羽田空港駅と浜松町駅のホームの様子と、時刻表と運賃表を出して、プリン
トアウトしてくれという。もちろん、目的地の地図は姪からメールに添付して
送ってもらったものを、これもプリントアウト。

 これで準備万端そろった夫は、飛行機の出発時刻の2時間以上も前に家
を出た。結局、気を使った姪は、めったなことでは東京に出てこないおじさん
のために休みを取って、羽田空港まで迎えに来てくれたらしい。お昼に豪華
な食事ばおごっちゃるけんね、というその言葉にだまされて(^g^)。最後の
羽田空港まで付き合ってくれた姪のおかげで、初めての東京一人旅を無事
終了した夫は、8時半頃帰宅した。

 手には出発時の何倍もの袋をかかえている。中を見たら、「東京ばな菜」と
いう菓子箱が何個も入っている。職場へのおみやげだという。たった日帰りの
しかも仕事での上京なのに大変だなー、と思った。昨夜子供たちに「おみや
げは何がいい?」と聞いていたので、崇弘が「東京ばな菜」!と言っていた。麻
子は洋服がどうの、と言っていたが、日帰りで洋服など選べるわけがない。

 結局、8個入り「東京ばな菜」と福岡空港で買ってきた「雪ウサギ」が我が家
というより崇弘へのおみやげとなった。崇弘はにこにこしてそれらを食べてい
る。麻子はまた夫によからぬお願い事をしていたようだ。

 それにしても、夫は一人で飛行機に乗るのは今回が初めてだったらしい。
飛行機だけならまだしも、そこからモノレールに乗るのがとても不安だったよ
うで、私は内心「モノレールなんてホームは一つで絶対行き先なんか間違え
るわけないのに。東京のJRや私鉄なんてこんなものじゃないのに。でも、夫
はそんなアクセスは絶対にひとりではやらないだろうな」と内心つぶやいた。

 よーく考えたら、交通機関を使っての旅行は私がいつも手配から全部やっ
てたよなー。これで少しは謙虚になるかと思ったのに、あいかわらず、いばっ
ている夫である。
                                    (2002.10.10 記)

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