煙草なんか吸うなー!

 私は、結婚するまで我が家で煙草を吸う人がいなかったので、煙草の煙の
免疫ができていなかった。夫は、ミドルスモーカー(多くもなく少なくもなく、1日
に30本程度)で、絶対に煙草が手放せない人である。朝起きてきて、まずする
ことは、煙草に火を着け、その煙草をくわえてトイレに入ることである。

 トイレに入って腰掛けたら、まず10分は出てこない。当然締め切ったトイレは
煙草の煙で充満している。自分でも煙いと思うのか、トイレを済ませたら、ドア
を開けっ放してくる。こんなことで、煙のにおいが即座に消えるわけがない。

 年頃になってきた、娘の麻子の近くで煙草を吸うと、「けむい」と冷たく言い
放たれるのだが、それでも吸うことをやめようとはしない。だけど、トイレのにお
いは自分でも気になっていたらしく、母と相談して、母の友達にたのんで、自動
感知のファンをとりつけてもらうことにした。

 こんなもん、煙草を吸わなけりゃつけなくてもいいのに、と思ったら、母の友達
が「みーんな、トイレを使った後はくさかとばい。自分じゃ気がつかんばってんね」
と言われた。そう言われればそうかもね、と思う。

 それともうひとつ癪にさわるのが、灰皿である。私には何の関係もない灰皿を
どうして、私が始末しなきゃいけないの。いつも使う灰皿は、一日使って、翌日
仕事に出て行く前に、その灰皿の中に水を入れていくのである。火事にならない
ようにとの、慎重すぎる性格の夫の行為であるが、吸殻がたまっている灰皿に
水を入れるとどうなるかは、おわかりであろう。灰の部分がきたーなく溶け出して
灰皿を埋め尽くす。火事が心配で、水を入れるぐらいなら、その後まで、自分で
始末してゆけ、っちゅうの。でも、きたないことは絶対自分ではしない夫だから、
これを自分でやらせるにはかなりの決意がいる。

 それと、自分でもなんでこんなことしているのだろう、と思うのだが、トイレに
灰皿を置いてしまったのだ。結婚してすぐのころだったから、いい奥さんと思われ
ようと思ったのが間違いの元だった。それから18年。その灰皿を置いている金属
の台がさびてぼろぼろになったので、いっそのこと処分しようかと思った。しかし、
夫の執拗な抵抗にあって、これもだめとなった。

 やっぱり最初が肝心だよね。いくらかわいい娘から「けむい」と言われても、これ
だけは譲れないようで、主張を通している。そうだ、いっそのこと、私もスモーカー
になったろかしら。そしたら、少しは考えるかもね。

 とにかく声を大にして言いたい。
              『煙草なんか吸うなー』と。  
                                       (2002. 3.18 記)

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